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カイラク - 4

拘留されていた間、何をしていたのか、殆ど記憶にない。
が、数日の間に、一般人へと戻っていた。

あの雑貨店はどうなっているだろうか。
興味本位から、近くまで行ってみることにした。


とはいえ、店内に堂々と入る勇気はない。
通りを挟んだ向こう側から、さり気なく様子を伺う。
フロア内の配置は少し変わっていたが、客の入りを考えると、それほど大きく影響はでていないようだ。


ふいに、取り調べを受けていたときのことを思い出す。

見当違いなことばかり吐く初老の刑事に、幾度となく動機を問われ、咄嗟に噛み付いた一言。

「動機?半径30cmの外で起こっている平和を壊したかったから。」

すぐさま、思い切り頬を叩かれた。

「君が壊したのはあのお店でも何でもない。君自身だ。」

一世代前の、熱血モノのドラマか。暑苦しくて苦手だ。
息巻く刑事を見るのも鬱陶しくなり、終いには反省しているふりを突き通していた。


無駄な時間だけを費やした取り調べの後、一緒にいた若い刑事に言われた言葉。
今も強烈に脳内を刺激する。

「君はさっき『平和を壊したかった』と言ってたけれど、そんな小さなことでは壊れたりしないよ。無意識に元に戻す力を持っているからね。また同じことをするのは勝手だけれど、君みたいな中途半端な論理じゃ、現行犯でなくてもすぐに捕まえるさ。」


それから押しの一言。

「次は容赦しない。」


若い刑事の言葉は十分に的を射ていた。
店の姿を目の当たりにして、やっと理解できた。

僕がしたことがあまりにも小さく、馬鹿げていたことを。


店員と目が合った。
そんな気がした。

途端に悪寒が全身を襲う。

そろそろ帰ろう。
爪先を駅へと向けたとき、背中を強風が後押しした。

コメント

お久しぶりです、真人です。
今回の作品はかなり衝撃的でした。
「半径30cmの外で起こっている平和を壊したかった」
変わらない日常を破壊したくなることはよくありますが……それを実際に行動に起こした主人公。
結果は逃亡の計画が失敗して連行。
しかも拘留後に自分が壊した平和な場所に行ってみたら何事もなかったかのような店の様子。
思わず主人公が可哀想になりました。
と同時に「君が壊したのはあのお店でも何でもない。君自身だ。」という言葉が深く胸に刺さりました。

素敵な作品を読ませて頂いて、ありがとうございました。
また次の作品も楽しみにさせて頂きます。

真人さん

こんばんは。
ご来訪、ありがとうございますm(_ _)m

遅ればせながら、今年初めての更新です。
「半径30cmの外で・・・」というフレーズだけが真っ先に浮かんだものの、作品自体はかなり行き当たりばったりで書いてます(--;)

ここ数ヶ月、諸事情により、なかなか更新できていませんが、次回もまた違った形で衝撃を残せる作品作りをしていきたいと思います。

お久しぶりです。こんばんは。
遅ればせながら、今年初の書き込みです…。本当に申し訳ありません。

犯人の行動は平和を壊したかったってのが理由って、すごいです。
犯人の取った行動がわかりやすく表現されていて、こんな事してるんだってよくわかりました!
逃げていく犯人が捕まったけれど、結局は店も元どおりに戻って何も変わらない…。それは私達の日常も変わりがないって事のようで、考えさせられました。

また、これからも更新楽しみにしています。けど、健康に気をつけて自分のペースで頑張ってください。
それでは、本日はこれで失礼します。

加奈さん

こんばんは。
こちらこそ、なかなか更新できず、お待たせしてしまって申し訳ありませんm(_ _)m

この話、勢いで書き始めたものの、終着点を決めていなかったため、書き上げるまでに時間がかかってしまいました。。。
でも、気に入っていただけて、今はほっとしております(*^_^*)

それではまた遊びに来てくださいね♪

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