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Tumbling Tube - 4

「これですよね?」
最後の1人の元へ、取り返した品を渡す。

萎んだ布袋を抱えながら、人気のない住宅地を歩いていた。
しばらく足を進めていると、反対方向から、見覚えのある女がやって来た。

「あ。」

そういえば、ここはあの女の家の近く。
西島本人としては、一番会いたくない人間だった。
相手もこちらに気づき、大慌てで走り寄って来る。

「ちょっと、待ちなさい!この泥棒!」
金切り声が響く。泥棒であることに間違いはないが、ここで言われる筋合はない。
殺気立った顔で睨んでいる。こういうときこそ冷静に応対しなくては。

「泥棒だなんて人聞きが悪いなぁ。何か用?」
とぼけた振りをして、動揺を誘う。

「液体版砂時計みたいになってるあの筒。まだ持ってるのなら返して。」
至近距離で十分届くにもかかわらず、恨みの篭った声で叫ばれる。

「この筒の名前も知らない癖に。どうせ僕が手にするまで愛着すら持っていなかったんだろ?」

その発言に、彼女は何も言えずにひたすら西島を睨みつける。
目の前の相手を打ち負かす一言を模索しているようだ。

好機。すぐさま筒を袋からつかみ出すと、さらに畳み掛けた。
「これ、ウーズチューブって言うんだって。さっき、液体版砂時計って言ったけど、落下速度は温度に影響されるから、時計になんかつかえるわけない。鑑賞用。それでも大切かい?」

「大切よ。だって、両親からもらったものだもの。」
予想通りの答え。ひねりもなく、そして、つまらない。

「ここに君にとって大切だと言い張るものはある。だから僕は奪った。けれども君が僕から奪ったものはここにない。」
眉をひそめ、首を傾げる。あからさまな態度。答えを期待するのはやはり無謀だったか。

「中学生活?未来?」
「言うと思った。あの後に入った学校は居心地よかったから、何とも思ってない。」
小さく息を吐く。どこまで落胆させるのだろう。

「僕が君を許す権利。」

大きく息を吸い、気の高揚を抑える。

「一度目は事件が起こったとき。二度目は真相がわかったとき。三度目は僕が君の部屋に入ったとき。特に三度目なんて、僕が去ってからまずしたことは、警察への通報だ。自分も過去に人のものを盗った事実は棚に挙げてさ。それを見て確信したよ。君は自分しか見えていない。君に謝ってもらう気は失せた。」

沈黙。言い返せないでいるといった方が正しいか。
眉がつり上がっている。ここまで言えば、もう十分か。

「これ、もう用済みだから返すわ。」

手に持っていた筒を投げる。筒は大きな弧を描き、彼女の手の中に納まった。

「それじゃ、もう会うことはないと思うけど。」
目をあわすことなく、呆然と立ち尽くす彼女の横をすり抜ける。
そのまま曲がり角を折れ、彼女の視界から姿を消した。

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